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2013年9月17日

漫画家のための超実践的MODO講座 (2)

2回目はいつになるんだと待っている人が数人いることを確認しているMODO講座です。

今回はいきなり作画における核心部分、「MODOでどうやって漫画の絵を描いているの?」という疑問に答えていきましょう。
当然ですが、MODOは漫画の絵を出力するために作られたソフトではありませんので、ある程度開発者サイドが想定していないようなトリッキーな技を組み合わせて、可能な限り「それらしい」結果が得られるような試行錯誤が必要になってきます。
そして、これから紹介する方法も、現時点での稲光がベストであろうと思っている方法に過ぎないのであって、さらに改良が加えられて変化していくでしょうし、人によって作風とマッチするかの問題もあり、あくまで一つの例として参考にしていただくのが良いと思います。
composition.jpg
もうこの図の通りなんですが、つまり一番上の完成図を作るために5枚のレンダリング画像をComicStudioの中でレイヤーとして重ね合わせているということです。一枚の絵のためにレンダリングを5回。なぜこんなことをするのか。
現状、MODOのエッジシェーディングは貧弱の一言で、絵を手書き風に見せるために最も重要な線のタッチをつけることができません。全て同じ太さの線で描かれてしまうのです。これを調整するためにComicStudioの線幅修正ツールを使うことになりますが、影のベタもテクスチャも全部同じレイヤーに乗っていると線だけを調整するのが困難になってしまいます。つまり線のタッチにこだわらないという場合は1回で全部入りの画像をレンダリングしてしまってかまいません。
基本的には全ての絵はこの5つの要素に分解していますが、場合によって要素は増減します。テクスチャやトーンが使われていない絵なら当然枚数は減るでしょうし、逆に下の図は『性食鬼』の体育館のシーンですが、床のテクスチャは木目の模様と板の継ぎ目の線とにさらに分けることでレンダリング回数は1回増えています。これも木目に影響が出ないように板の継ぎ目の線にタッチをつけるための措置です。
_WS003781.jpg
次回からは、これらの各要素について順番に説明していきます。

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