MODO講座アーカイブ

2015年1月20日

漫画家のための超実践的MODO講座 (3)

けっこう前の話ですが、ついにMODOでもV-rayが使えるようになってベータテストとかやってたわけですけど。
その時にV-rayのことを調べてたらWikipediaの記述で「最近ではトゥーン機能が搭載されており、アニメ調のレンダリングにも対応した。pencil+のような専門プラグインと比べても遜色ない性能など、こちらも評判がよい。」というのがあって非常に興奮したわけなんですが、さらに調べるとそのV-rayトゥーンはとりあえず輪郭線は出せますけどというpencil+どころかMODO601当時のレベルのうんこトゥーンだったわけで、いいかげんこの記述誰か直してほしいんですけど、とにかく失望した私は手持ちのコマでどうにかMODOの輪郭線のレベルを上げられないかなーと考え始めたのでした。

そうして一応の成果を見たのがこれです。ちょっとすごくないですかこれ。レタッチ無しですよもちろん。

150120a.JPG

どのようなカラクリかと言いますと、シェーダーツリーはこんな感じになっておりまして

_WS005801.jpg

これだけで察しの良い方はわかってしまうと思いますが、エフェクトが「ドライバーA」になっている画像マップが重要でして、このモデルは3つのアイテムで構成されているので3枚ありますが、このアイテムに1対1で対応している画像でエッジの太さをコントロールしているのです。つまり、こういうことです。

150120b.jpg

線画と対比して見るとわかりやすいと思いますが、50%グレーから明るくなるにつれてそこに出るエッジは細くなり、反対に暗いところほどエッジは太くなります。そのためにグラディエントを使います。セルエッジマテリアルの上にグラディエントを作り、エフェクトを「エッジの幅」に、グラディエントの入力パラメータを「ドライバーA」に設定します。そしてグラフ編集を開き、画像の明暗とエッジの太さを対応させます。

_WS005803.jpg

こんな感じ。
横軸は画像の明暗で縦軸がエッジの太さを表します。ここで誤解しやすいのが、セルエッジマテリアルのプロパティで指定した「エッジの幅」が2.0だとして、グラフ縦軸の200%のところが2.0×200%の4.0にはならないということです。「エッジの幅」の値は無視され、グラフの100%が1.0に相当します。500%で5.0です。
そしてもう一つ注意しなければならないのが、このままだと画像の暗いところほど線が細くなるという逆の効果になってしまうので、画像マップのテクスチャプロパティの「反転」にチェックを入れましょう。「じゃあグラフの形を逆にすればいいんじゃねえの?」と思われるかもしれませんが、なんかそれ出来なかった気がするんですよね。もしかして出来るかもしれないので誰かやってみてください。

以上のやり方で線の強弱が表現できるわけですが、やはりこの方法のネックは太さ画像マップを描くのがめんどいということに尽きます。どうにかオクルージョンとかレンダー画像のベイクとかで自動化できないもんかと思うんですが、そんなことやってるうちにMODOの機能として実装されたりなんかええ感じのプラグインが出てしまうかもしれないので、この辺はもうこれ以上掘らないほうがいいかなと思ってます。

2013年9月17日

漫画家のための超実践的MODO講座 (2)

2回目はいつになるんだと待っている人が数人いることを確認しているMODO講座です。

今回はいきなり作画における核心部分、「MODOでどうやって漫画の絵を描いているの?」という疑問に答えていきましょう。
当然ですが、MODOは漫画の絵を出力するために作られたソフトではありませんので、ある程度開発者サイドが想定していないようなトリッキーな技を組み合わせて、可能な限り「それらしい」結果が得られるような試行錯誤が必要になってきます。
そして、これから紹介する方法も、現時点での稲光がベストであろうと思っている方法に過ぎないのであって、さらに改良が加えられて変化していくでしょうし、人によって作風とマッチするかの問題もあり、あくまで一つの例として参考にしていただくのが良いと思います。
composition.jpg
もうこの図の通りなんですが、つまり一番上の完成図を作るために5枚のレンダリング画像をComicStudioの中でレイヤーとして重ね合わせているということです。一枚の絵のためにレンダリングを5回。なぜこんなことをするのか。
現状、MODOのエッジシェーディングは貧弱の一言で、絵を手書き風に見せるために最も重要な線のタッチをつけることができません。全て同じ太さの線で描かれてしまうのです。これを調整するためにComicStudioの線幅修正ツールを使うことになりますが、影のベタもテクスチャも全部同じレイヤーに乗っていると線だけを調整するのが困難になってしまいます。つまり線のタッチにこだわらないという場合は1回で全部入りの画像をレンダリングしてしまってかまいません。
基本的には全ての絵はこの5つの要素に分解していますが、場合によって要素は増減します。テクスチャやトーンが使われていない絵なら当然枚数は減るでしょうし、逆に下の図は『性食鬼』の体育館のシーンですが、床のテクスチャは木目の模様と板の継ぎ目の線とにさらに分けることでレンダリング回数は1回増えています。これも木目に影響が出ないように板の継ぎ目の線にタッチをつけるための措置です。
_WS003781.jpg
次回からは、これらの各要素について順番に説明していきます。

2013年4月 5日

漫画家のための超実践的MODO講座 (1)

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いきなり始まりましたMODO講座ですが、基本的な機能の説明は他の方に譲るとして、ここでは漫画に使うということに特化したガチお役立ちな情報を気が向いた時に書いていきたいと思います。
1回目は誰もが直面するネタで、狭いシーンのレンダリングについてです。
上の図のように、トイレから出てきた人を正面から描きたいことがありますよね。しかし全身ちゃんと収まるようにカメラを動かしていくとカメラはすぐ部屋の外へ。
130405_02.jpg
こんなことになってしまいました。ポリゴンの裏面は描写されないので壁は透過してますが、手前に小便器の裏が見えてしまってますね。さあどうする。
「外から部屋の中を写すなんてあり得ない!」あくまでリアリティにこだわりたいアナタはカメラの画角を広げて無理矢理カメラを部屋の中に入れようとするかもしれません。しかしそれをやるとやはりリアルにカメラは急激な遠近感をつけて違和感のある画像に。
「邪魔なものは消せばいいじゃん!」合理的かつ短絡的なアナタは手前に見えているいらないものを非表示にしてしまうでしょうか。まあアリですが、その消したものの反射や影がなくなって微妙に画像が変化してしまいます。手前に照明があったとしたらどうでしょう。
そこで出てくるのがクリッピングプレーンです!(画像は英語版です)
130405_03.jpg
カメラエフェクトのタブの中にあるこの設定項目を有効にして距離を設定すると...
130405_04.jpg
このように!カメラの正面、設定した距離のところに四角い枠が現れ、そこから手前にあるものはレンダリングされなくなるのです!
130405_05.jpg
ハイこんな感じで、煩わしい修正なしで望んだままの画像が得られましたね。それではまた!

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